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私の好きなウイスキーの世界や、Barでの出来事を通じて、

特に女性に興味を持って頂いたら嬉しいです。

単独インタビュー第8弾 2011年 年明けインタビュー企画「Bar DOVECOT バーテンダー渡邊 真弓さんを迎えて(2)」

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K:こちらの流れで次に伺いたいと思います。

Q2、女性バーテンダーとして良かった事、悩み等ありますか? 

渡邊さん:「女性バーテンダー」という括りではあまり意識した事はないですね。 

K:ええ。 

渡邊さん:特に意識したような場面も今のところないですね。というのは、「女性」という事だけが理由で、いいね、とか駄目だね、みたいなご意見は無かったように思うのです。お客様のご理解が深くて私が全く気付かなかったというのもあるとは思うんですけれど。 

K:いえいえ。 

渡邊さん:先程も述べました様に、ご注文でさえ、まともにお受け出来なかったのに、何とかお話し出来るようになり、更に何とか作れるようになり、そのお作りするものの出来が多少なりとも一歩ずつ成長する、そういう過程を見て下さっているのかなと、それが男性であっても女性であっても若くても歳をとっていても1人の人間として良し悪しの評価を頂いていると思うんですね。ですので、女性バーテンダーとしてだけの意味では意識した事は無かったです。 

K:ええ。 

渡邊さん:ただそう思える環境に有り難いなと思います。世の中では女性の社会進出が当たり前となり、頑張っていらっしゃる女性の方もたくさんいらっしゃいますけれど、どこかエコひいきされるのが嫌だったり、差別・区別される場面があったり、きっとそこで女性であるという事を意識する様に思うんですけれど、1番やっぱり嬉しいのは男性も女性もなく人として接してもらった時が本当に嬉しいですよね。 

K:そうですよね。凄く分かります。

渡邊さん:特に女性の場合、意識してしまうと、余計気を張り過ぎてしまう事もあると思うんですけれど、そういう意味では本当に良い環境で今ずっと来ていますね。 

K:はい。私がどうしてその様なお話を伺おうかと思ったのは、私がウイスキーを好きになって暫くしてからある方から「女性だから優しくもらえるんだよ」と言われた事があって、「そうなんだ」と思って。その時まで全く意識せずBarへ行って楽しんでいたのですが、7年前位に知り合いの方に言われたのですよね「Kaoriさん覚えていた方が良いよ」と。その時に初めて意識をして「え、そうなの?」だと。それから今迄普段からお世話になっている方々に聞いてみたりしましたね。「そうなのですか?」と。 

渡邊さん:何て答えられました? 

K:「そうなの?」「そういう事思っている人はその人位なんじゃないの?」と言って頂いたり、「そんな気にする事ないんじゃないの?」という事を頂きましたね。私が思ったのは、意識をするつもりはないにしろ、後から気付いたのですよ、「ウイスキーは男性が多い、あ、多いんだ。」と(笑)。 

渡邊さん:うん、なるほど。 

K:私も渡邊さんみたいに全く考えていなかったのですが、その一言で「ウイスキーに女性は少ない」という風に聞く様になってから「そうなんだ」と。「あ、男性の方が多いね。」みたいな、後から気付いたみたいな。 

渡邊さん:今気付いた、みたいな(笑)。 

K:ええ。それから今迄色々と教えて下さっている方に、「しゃしゃり出ている所はないですか?」だったり、そういう事は聞きましたよね。その様に優しくされる事がある様なのですが、「もし私が自惚れる様な行動をとっていたり、そういう事があったら言って下さい」と伝えましたね。 

渡邊さん:何かドキッという発言をされると「え?」と意識をしますよね。 

K:はい。全く思っていなかった時の一言に「あら」と思って少し考え方が変わったというか、そういう事がありましたね。

渡邊さん:なるほどね。結局はお人柄だと思うんですよね。Kaoriさんが例え男性であったとしても、お人柄に惹かれてこういうインタビューをお受けしたと思いますし。だから私も勿論、見れば女性か男性かは一目瞭然ですが、あまりそういう事よりは、男女を意識し過ぎず、人として接するようにしているつもりですし、反対に自分にもそんな風に返してもらえているのかなと。 

K:有難うございます。確かにそう思いますよね。 

渡邊さん:不謹慎かもしれませんが、男性のお客様から全くアプローチされませんからね。逆に女性の方から口説かれたりして(笑)。 

K:飲みに行かない?みたいな事ですか? 

渡邊さん:そう、1度飲みに行きませんか?的な。嬉しいですけれどね。 

K:私もね、男性と知り合いになって飲み仲間的な感じになって頂いているので、そういう事は本当に有り難いなと思っています。だから女性だから、とはね。最初は、男性も優しくして下さるのですが、それは人として帰りを心配して下さったりする方は多かった、多いですけれど、最近こう分かって来て下さっている様で、「じゃ、ここで解散」みたいな感じになるので、今では有り難いなと思っています。 

渡邊さん:仲間として長い付き合いが出来ますよね。 

K:そうです。そう思っていたのですが、その一言があってその時に私の中ではあれ?と思いましたね。それでは女性としての悩み等はないですかね。良かった事として、人として良かった事はあるけれど他に特にないですか? 

渡邊さん:そうですね。そういう意味では、ないですね。

K:そういうお話を伺えると私も嬉しいなと思います。
 
渡邊さん:有り難うございます。

K:Q3、繋がってしまうかもしれないですが、女性バーテンダーだからこそ出来る事はないですか?私の中では、少しあって欲しいかなと思います。 

渡邊さん:そうですね。「バーテンダー」と言う事では、Kaoriさんのご期待に添えない答えかもしれませんが、例えば、女性だから細やかだという表現をされる事が多いと思いますが、男性バーテンダーの方でも本当に手先が器用で、細やかな気配りをされる方が、ほとんどなんですね。だからバーテンダーの仕事の面では男性だとか女性だとかはあまり関係は無いように思うんですよね。

 K:ええ。 

渡邊さん:ただそうですね、強いて言えば、ダヴコットの場合、お客様の8割方が男性の方なのですが、Bar全体でもおそらく男性の方が多いとは思いますが、特に平日はスーツ姿の方が多いので、逆になるべく制服のネクタイを取ったりして服装を少し考えたりしています。今日もブラウスっぽい物にしているんですが。 

K:ええ。 

渡邊さん:平日スーツでいらして頂いているお客様の中にも、週末はご家族で、又はご夫婦でいらして頂いている方も多いので、そういう時は大体リラックスされた格好をされていますので、私は逆にネクタイをしてお連れの方に対して緩い印象にならないように意識しています。 

K:大事な事ですよね。迎える側としてのお考えとして。カウンターのこちら側の私達が座っている立場からすると、確かにそうして下さっていると気持ちが違いますよね。 

渡邊さん:そう言って頂けると有り難いです。今日はベストですけれど、ジャケットを着る時もあるんですね。ジャケットにネクタイをするとちょっと堅いですよね。そんな時はネクタイを外して、ブラウスだったりクロスタイだったり、平日はあまり堅くなり過ぎないようにして、土日は逆にしたりと、ちょっと最近意識して制服を変えています。

 K:それはどなたか気付いていらっしゃいますか?

 渡邊さん:そうですね。「ネクタイをしないの?」と言われる時があります。平日にいらっしゃるお客様に。 

K:その方は、常連の方ですか? 

渡邊さん:そうですね。他の男性のスタッフはブラウスを着るわけにはいかないので、ネクタイをしていて、バーテンダーである私がネクタイをしていないのでちょと不思議がられて仰る方はいらっしゃるんですけれど、今の様にご説明をする時もありますね。 

 K:ご説明すると、「へー考えているんだね」、と仰るのですか? 

渡邊さん:うーん、中には「ネクタイが良い」という方もいらっしゃいますし、「そうだね。」と言う方もいらっしゃいますし。 

K:でもそれは伝わって行くのではないかなと思います。確かに拝見していて、ネクタイをしていないと、とは強く私は思わないです。やはり何回かお伺いした時にブラウスだなと思った事はありました。 

渡邊さん:しかも小柄なので、スーツ着てネクタイをすると七五三みたいに(笑)。それも自分の中で違和感があって。

 K:身長おいくつですか? 

渡邊さん:155㎝です。 

K:そうですか。カウンターに入っていらっしゃるとそうは見えないですね。 

渡邊さん:それって、態度が大きいからでしょうか?(笑)

 K:いやいや。カウンターが高いとは思いますが、マスターの秋山さんの身長に設定されているのでしょうか?

 渡邊さん:そうですね。ダヴコットのカウンターは中央にお酒を作る場所があるのですが、そこだけカウンターより高くなっているので、背伸びまではしないですけれど、高めのかかとの靴で調節をしています。

K:作る場所も高いとは思いますが、カウンター自体も高いですよね。 

渡邊さん:そうですね。ハイカウンターなのですがレイアウトが変則的でお客様の目の前でお作りするのがやや難しい形なので、作っている所の台が更に高い事でお客様から自分が作っているものが見やすいとは思うんですね。だから高くて良かったと思うんですよね。

 K:そうですね。あちらに座っていても拝見出来ますものね。 

渡邊さん:そうなんです。あれは自分のグラスだな、みたいな。 

K:そうです。考えてお作りになったのですね、こちらのカウンターは。他のBarにも伺いますが、こちらのカウンターは中々ない作りですよね。 

渡邊さん:そうですね。 

K:ないですよね。そういえば、先日私の昔からお世話になっている「Barで映えるネイル」のネイリストさんもいらっしゃったそうですよ。ただ、何軒か行った後だったので、ご挨拶は控えたと仰っていました。 

渡邊さん:え、そうなのですか? 

K:いらっしゃったら知り合いだと仰って下さいね、とお伝えしていたのですが。ただ、「きちんと1軒目の時にご挨拶します」と仰っていました。 

渡邊さん:是非。 

K:私達側から、やはりきちんとしてご挨拶をしたいと思う気持ちは分かります。私も酔いが深く、「あら」、と後から思ったら、これはきちんと早いお時間に、そして1軒目に伺おうかなと思いますものね。例えば知り合いの方と連れだって伺ったとしても、自分の中で納得しなければきちんと伺おうと思います。 

渡邊さん:なるほどね。そうですよね。

K:ですからネイリストの方のお気持ちも分かるのです。 

渡邊さん:それでは改めてお会い出来るのを楽しみにしております。 

K:話は戻りますが、タイの事を伺えて良かったです。逆にBarの方がその様に思われている事を会話の中で聞かれた時にこういうお話が出来ると思うのですが、でもご自分で私はこういう気持ちで、こういう風にしています、と訴える所が中々あるわけではないですよね?

渡邊さん:ええ。 

K:聞かれたら言うけれど、別に自分から言わなくても良いというか気付いてくれたら良いという事もあると思うんですよね。

 渡邊さん:そうですね。 

K:ただこういう機会に伝えられれば。バーテンダーの方はそういう風な事を思って立っていらっしゃるんだという事が分かれば。私としたら、ご自分でアピールせずにいらっしゃるBarの方々のお話を少しでも伺いたいと思うんですよね。だから突っ込んで聞いたり。そういう事が出来るので。 

渡邊さん:そうですよね。 

K:中々ないと思うのですよね。そういう時にお話しして下されば、ここだけの話という事もありますし、皆さんに聞かれていれば答えてらっしゃる事もあるかもしれませんが、ご自分の何かに書くわけにもいかないのでしょうから。 

渡邊さん:そうですね。わざわざアピールするという事もないですしね。ただ、服装の事でもう一つ付け加えるすれば、自分の中のさり気ない楽しみですよね。毎日の仕事の中に、1つ新鮮さを加えるというか。 

K:ええ。

渡邊さん:制服が決まっているお店だとバリエーションが少ないとは思うんですけれど、マスターがよく言っていたのは、「お洒落をしろ」と。お洒落と言ってもピアスを付けるわけにはいかないですし、香水を付けるわけでもないですが、限られた中でフォーマルな中で、今クリスマスだから(インタビュー時期は12月)、クリスマス柄のネクタイだったり、ブローチだったり。男性でもネクタイで季節感を出せますし、女性だったらスカーフ… 

K:ええ。 

渡邊さん:決して大ぶりの物ではなくて、ちょっとタイの代わりにスカーフでも宜しいと思いますし、清潔感が第1にあれば見ている方も楽しいと思うんですよね。 

K:そうですね。 

渡邊さん:なので、多少自分の中でバリエーションを付けています。自分も面白いですしね。

 K:そうですね、ご自分でも楽しみがある方が良いですよね。 

渡邊さん:そうですね。そういう風にちょっと心掛けていますね。 

K:私も先日の座談会(The Whisk World)でもお話したのですが、今日Barに行くぞ、という時には、もう朝から楽しみで、お洋服どうしようかなと考えるのですよね。 

渡邊さん:うん、うん。 

K:どうしようかなという事も又楽しみなので、相手は知らなくてもテーマが決まっていたり、先日はこの様なお洋服で行ったから、今度はこういう感じのお洋服で行ってみようと思ったり。イベントであれば、こういう感じで行ったから、お会いする方もいらっしゃるから、今度は違う雰囲気の格好で行ってみようと思ったり。そういうのはありますね。先日の「モダンウイスキーライフ」の時には、知っている美容部員の方にお願いして、メイクをして頂いたり。だから自分で写真を見ても顔が違うのですよ。

 渡邊さん:へえ。 

K:そういう自分の中の勝手な楽しみです。誰かがどうこう言うわけではなくて。多少気付いて欲しい気持ちもありましたけれど(笑)、写真を見れば明らかに違うので、自分の中での楽しみ。勝手にありますよね。 

渡邊さん:ありますね。 

K:少しテンションを高める為に。 

渡邊さん:そうですね。 

K:有り難うございます。(3へ続く)  (1へ戻る)


※当時のインタビューのまま掲載、移行しております。

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