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単独インタビュー第13弾 2011年末特別企画 「目白田中屋 栗林氏を迎えて(4)」

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K:先程ポップを拝見したら、ある方がお好きなんじゃないかと書かれていて、その方なら好きじゃないかという。

栗林さん:うん。

K:そういう風に書かれていたからそうなのだな、と思って拝見していたのですけれど。

栗林さん:あの人と付き合って何年にもなるんですけれど。彼からも学びます。彼もそうなんですよね。あの人何になりたいっていう訳じゃなくて、色んなイラストレーターもやっているし、絵も描くし芝居もやるし、何かを表現したかったの。

K:ええ。

栗林さん:人間は何かを表現するのが大事で、どう思われても良いじゃん、みたいな。そういう所は彼に学んだんですけれど。だから僕は何をやってもいいし、自分がどう思われても自分で表現する。僕も昔は取材とか嫌いで(笑)。

K:今で良かった(笑)。

栗林さん:格好付けてて。

K:表に出ない方が良いとかで、ですか?

栗林さん:そうそう。何だよな、と思っていたんですけれど、彼は、話が来るうちが花だし、仕事を断るっていうのは、100年早いって。

K:ええ。

栗林さん:それは自分が格好付けているだけじゃん、って。結局、自分が有名になりたいとかなりたくないとかそういう事じゃなくて、出たがりとかどう言われてもいいし、本気で思う事は、人の為に、作っている人の為にやる事だから。その為に出てだから僕は今色んなものを話がくれれば出ちゃうけど。それは凄く言われたのが、例えば特にモルトは今凄い有名になったからいいんですけれど、コニャックにしろ、ラムにしろ本当に宣伝力のない、営業マンがいないし宣伝費も掛けられないし、そういう小さいところもいっぱいいるんで、そういう人は雑誌の人とか、フランスに取材になんて行けないし。

K:ええ。

栗林さん:だから田中屋に取材に来た時にその人の代わりに出なさいって言う。そういう為にやればいいんだよって。

K:ええ。

栗林さん:その結果田中屋がどうのこうの、又出ていると言われても良いじゃんって言って。そんなちっちゃい事はどうでもいい。そんな事ではなくて、その人達が少しでも広めて、少しでも売ってあげて、潰れない様にしてあげる事の方がよっぽど生きている価値があるって。出る価値はあるって。だからこういう物もあれですよ。そうやって考えると何にも全然。彼も結構金の為にやんないですよね。

K:ええ。

栗林さん:でも、分かるんですよ。

K:はい。

栗林さん:僕は出たがりになったのは彼のせいなんです。

K:そうですか。

栗林さん:出たくないなんて100年早い。出してもらえるだけで感謝しなければいけないし、それは自分の為ではなくて、人の為になるんだったら、どう思われたっていいじゃない。

K:ええ。それはその方とお会いしたからですか?

栗林さん:それは以前からちっちゃい作り手の為に出なさい、出なさいって言われていたんですけれど、彼と出会って、あ、そうだって。ああそうなんだって(笑)。

K:最初こちらに伺った時も自分がどう思われてもいいからって仰って。そう仰っていたから。

栗林さん:そう、そうなんですよ。

K:最初からそう思っていらっしゃったのか、途中からなのか。

栗林さん:完全に途中からです。最初から出る事自体が、何か凄い人いっぱいいるし、出るべき人はいっぱいいると思ったし出るもんじゃないと思ったし、ある意味格好付けていたし。

K:はい。

栗林さん:でもそれは自分の事を考えてそういう風にあるだけで、本当に潰れそうな人いっぱいいるのに、格好付けている場合じゃないでしょう、という。

K:ええ。

栗林さん:凄くお世話になっているミラノのBar METOROっていう。

K:メトロさんですか?

栗林さん:メトロの・ジョルジオ・ダンブロシオ世界5大コレクターの1人、ジャコーネとか。凄いいい人ですよ。

K:ええ。これは?

栗林さん:60年代のものですよ。ジョルジオ格好良いですよね。

K:あ、美味しい。

栗林さん:67年のオープンだから。

K:凄く美味しい。

栗林さん:友情のラフロイグ。ジョルジオ30周年とかよく記念ボトル作るんですけれど、30周年の記念ボトルはグレンモールだったんですけれど。裏ラベルには、フランコっていう番頭さんが居て、ずっと開店当時からやっている番頭さんが居て、その人全然、控え目でキャッシャーに立って、うんうん、っていう感じなんですけれど。30周年のラベルには長年一緒にやって来たフランコに捧げるっていう、ボトルがあって。

K:ええ、凄い!そういう事が表現出来るのって良いですね。

栗林さん:フランコ死んじゃったんですけれど。

K:そうですか。

栗林さん:死んじゃったんですけれど、僕には何も言わなくいいって。

K:ええ。

栗林さん:フランコ元気だよって言っているんですけれど、常連の客に聞いたら、フランコは実は亡くなっちゃったんだよ、って。彼が言っているのはね、天国で元気なんだよって言う。

K:ええ。

栗林さん:それ以上いらないんだよって。

K:ええ。

栗林さん:美味しいですね。

K:美味しいですね、本当に。

栗林さん:本当に色々な人に。

K:本当にそうですね。(5へ続く) (3へ戻る)


※当時のインタビューのまま掲載、移行しております。

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