3,760 views
「信濃屋食品にて 2011年6月某日 時刻 お仕事をなさっている人々の足取りが軽くなった頃」

お仕事がまだお済みでない緒方さんをお待ちしている間、インタビューを開始させて頂く前に北梶さんと談笑。北梶さんがお持ちになったウイスキーのボトルが少し気になりながら...。
Kaori(以下K):私インタビューの時は頂かない様にしているのですよ。
北梶さん:え?本当ですか?良いんじゃないですか?酒屋って事で。
K:(笑)。楽しくなると伺う事が出来なくなってしまうので、私。いいかな、頂いてしまえと(笑)。
北梶さん:それもお酒の良いとこじゃないですか(笑)。
K:ええ。
北梶さん:そのベンリアックは以前からプライベートカスク用として探していて、昨年10月に緒方君と2人で行った時に、やっと見つけた1976ヴィンテージの樽のボトルです。
K:そうなのですね。
北梶さん:大抵ダンネージ式で長期間熟成すると結構度数が落ちちゃって、このカスクはウェアハウスで試飲した時はフレイバーもはっきりしていて度数の弱さを感じなかったんです。
K:ええ。
北梶さん:ベンリアックのオフィシャルボトルでのプライベートカスクは4年位前に、僕の前任で、今の上司の菊池がやっていて。
K:ホームページに載っていらっしゃる方ですよね。
北梶さん:ええ。
K:(ウイスキーに)先程から虫が寄って来るのですが。甘い香りに寄って来るのでしょうか?(笑)
北梶さん:そうですね。それもありますよ。こんなピーチの甘い香りなら尚更かも(笑)。
K: 虫、香りに寄って来るのですね。以前もウイスキーを頂いている時に、虫が寄って来た事があるのですが、これで謎が解けました。お話の途中で、失礼致しました。
北梶さん:菊池の時には1994をやっていたんですが、ピートタイプのベンリアックで。違うタイプで他のカスクもずっとやりたいな、っていうのがあって探していました。
K:1994のベンリアックを菊池さんがされていたのですか?
北梶さん:はい。
K:最初はどこがピーチか探していたのですけれど。最初に頂いた時と今2口目に頂いた時の方がピーチが来ます。
北梶さん:最初に麦の甘さが来て、フルーツシロップのような甘さが来て、その後すぐにトロピカルフレイバーがどんどん出て来る感じがたまらないんですよ!
K:凄い。美味しいですね。ところで、雑誌やその様なものに、北梶さん出ていらっしゃいますか?
北梶さん:いや、僕全然ないですよ。酒屋さんは、縁の下の力持ち的な存在ですし、自分は店舗に立っているわけではないので。
K:ええ。
北梶さん:やはりバーテンダーさんとかが雑誌に載ってかっこ良くウィスキーを紹介してくれた方が絵になりますし(笑)。うちが扱っている商品を皆さんBarで飲まれてから、うちのショップなどに買いに来るケースの方が多いですので。
K:ええ。
北梶さん:バーテンダーさんが中心となって美味しいものをウィスキーファンに広めてくれているから、バーテンダーさんが欲しいものや飲み手の方が楽しんでもらえるような商品を仕入れたり輸入したり、開発出来たら良いかな、と思いますよね。
K:ええ。でもその内ね。出て来ないといけない状況になるかもしれませんよね。これからそうなりそうではないですか?
北梶さん:いやいや。
K:北梶さんが選ばれたボトルを期待される方が増えたら、分かりませんよ。
北梶さん:でもあくまで縁の下の力持ちが酒屋ですからね。雑誌とかより、むしろ身近に感じてくれるのが一番嬉しいです。
K:そうですけれど、伝えていきたいという時は出て行かざるを得ない時もあると思います。その方がより広められたり、伝えていく事が出来たりすると思うのですね。
北梶さん:何か強いて雑誌とかに出てアピールしたい事と言えば、バーテンダーさんの仕事はハードですけれど、見ていて華があると言うか、格好いいじゃないですか。男性からすると結構格好いいなと。でも何て言うんですか、普通にガキの頃とか、プロ野球選手になりたいとか言う子供達は多いですけど、「俺酒屋になりたいな」って言う人いないじゃないですか?
K:確かに、大人になってから段々分かる職業ですよね。
北梶さん:酒屋さんはキツイ仕事というイメージが強いので面白そうだからやってみたいと思う人がそんなに居ないんで、そういう意味では酒屋、うちの場合はウィスキーに特化したショップですけど夢やロマンが意外と詰まっている仕事でちょっと楽しいよ、っていう事を多くの人に伝える事が出来ればなという気持ちがありますね。
K:流石ですね。そういう気持ちが大事ですよね。
北梶さん:若い人が居ないですからね、特に酒屋には。だから結構若い発想で商品を開発出来ないですし、そういう人がいないと盛り上がらないですし。で、僕の年齢より下でウィスキーの楽しさを知っている人は少ないので、たまにBarなんかで僕より年下でウィスキーを楽しんでいるお客様と会ったりするとすごく嬉しくなります。刺激になりますよね。
K:ええ。
北梶さん:そういう意味では、ウイスキーをはじめ美味しいお酒を広げるためなら何でもやりたいですよね。
K:ええ。
北梶さん:良い事言いました?(笑)
K:ええ、勿論。
緒方さんには途中から参加して頂くとして、それでは始めましょうか。それではこの度はお時間を取って頂き、本当に有り難うございました。
北梶さん:いえいえ。
K:まずこちらですよね。
Q1:アイコンズ・オブ・ウイスキー2011獲得、おめでとうございます!
北梶さん:有り難うございます。
K:こちらについてですが、私達が完全には分からない部分もあるので見れば分かる事ではあるのですが、どういう方達に、どういう事をされているとこちらの賞を頂けるのか教えて頂いても宜しいですか?
北梶さん:そうですね。世界のウィスキー業界に貢献した人や組織に贈られるという事なのですが、詳細はウイスキーマガジンを(笑)。
K:ここはリンクさせて頂くとして。

北梶さん:ロイヤルマイルを見ると、常にスタッフがウイスキーの勉強をしていてと書いてありますね。
K:凄いですよね。何かの時に従業員の方を見ていないと、どれだけ知識があるという事は理解されませんよね。
北梶さん:うん、まあ。
K:いらっしゃっていて調べられていたという事ですよね?それともウイスキーライヴの時に話しての感じなのでしょうかね?
北梶さん:そういうのは、今度ウイスク・イーさん、元木さんに聞いてみたら良いかもしれないですね(笑)。僕は専門店として出来る事をやっていて。例えば品揃えだったり、スタッフのスキルもそうですけれど、社内で定期的に従業員でセミナーをしたり。このベンリアック1976の樽も今ではそう多くはないのですが、一樽買ってボトリングして日本のウイスキーファンに広めるような面白い事をしたりとか。長期熟成だと主にコアなウイスキーファンがターゲットになりますが、若い原酒で美味しいものや新しいものをボトリングした場合はもっと幅広いウイスキーファンにシングルモルトの魅力を伝える事が出来ますし。うちでは定期的にフェアを組んでいるんですが、丁度先日アイラフェスがあったじゃないですか。そういう現地のイベントに合わせて、信濃屋アイラフェスティバルのような企画で、より現地の熱を感じてもらう方法でアイラモルトを提案したりとかお買い得にしたりとか。そういうの取り組みはデイヴ・ブルーム氏が来た時に「いい取り組みだね」って言ってもらったりはしていましたね。
K:今下の階で丁度ラガヴーリンの所を見たら、アイラフェス、正規も有ります、と書いてありましたね。 そういう事ですか?
北梶さん:そうですね。こういう時にアイラモルトを買い易い値段に交渉したりとか、蒸溜所ごとの個性を分かり易くコメントしたりとか、こういう飲み方がいいですよ、とか。コアなとこでは並行品と正規品のロットの違いとか。ですかね。
K:お写真撮っても大丈夫ですか?北梶さんは髪型にこだわりを持っていらっしゃるから、きちんと撮れていないと良くないですし。
北梶さん:格好良く撮って頂ければ(笑)。

K:髪型の話になりますが、昔からそちらの髪型でしたか?ずっと入社されてから?
北梶さん:入社した時僕坊主でしたよ。
K:ええ、そうなのですか。
北梶さん:ドイツから帰ってきて、この会社に入ったんですが。ドイツでは髪型を楽しめるような環境がなく(笑)、住んでたくせにドイツ語もしゃべれないんで、ここを刈り上げてどうとかうまく説明できないのです(笑)。それで自分でバリカンで刈っていたんですよ。入社時はその延長で、面接を受けた時も丸坊主でしたね(笑)。
K:ええ。でも逆にすっきりしていいね、思われたかもしれませんよ。
北梶さん:目つきが怖いとは言われましたけれど(笑)。
K:(笑)。確かに坊主だと、きつく見えてしまう部分もありますよね。
北梶さん:そうですね。
K:お優しい顔をしている方でも強い感じに見えてしまいますよね。
北梶さん:自分の場合特に人相が悪いので(笑)。
K:切れ長でいらっしゃるから。
こちらのウイスキーの続きを頂きながらでも宜しいですか?
北梶さん:どうぞ、どうぞ。
K:段々変って来ますね。私贅沢ですよね、今日、役得ですね。大体どの位の時間で頂いた方が宜しい等ありますか?
北梶さん:結構早目の方が良いかもしれませんね。度数が低めですので。
K:随分変わって来ていますね。香りが立って。
北梶さん:結構カスクサンプルの時に飲んで、購入を決めてもボトリングされると違う事もあって、その辺がまだ分からない所はありますよね。探り状態って言うか。予想でこうなるんじゃないかなと思って、良いイメージなってくれたらいいんですけれど、ボトリングされてからこうなんだったかな?と思う時も有りますし、そこがちょっと難しいところですよね。
K:ええ。でもこちらはいいですね。お話を戻して、アイコンズ・オブ・ウイスキーを受賞されるのは何回かあるのですか?
北梶さん:僕がバイヤー職に就いてからは、日本はスコットランド・アメリカ以外の全ての国が対象になるレスト・オブ・ザ・ワールドと地区になるのですが、去年と今年でもう2回目ですね。前任の菊池の時にも2回取っているので、全部で4回目ですね。
K:ではこのまま取り続けて行く?
北梶さん:そうですね。
K:ですよね。更に更に上ですよね?
北梶さん:はい。ノミネートに留まるだけではなく、世界一のリテイラー・オブ・ザ・イヤーですね。(2へ続く)
※当時のインタビューのまま掲載、移行しております。
但し、こちらでのサイトでの公開は、現在携わっていらっしゃる方のみにしております。
※ 当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
コメントを残す