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私の好きなウイスキーの世界や、Barでの出来事を通じて、

特に女性に興味を持って頂いたら嬉しいです。

単独インタビュー第21弾 2014年 年末企画「Bar Malt House Islay オーナー鈴木 勝雄氏、バーテンダー瀧澤 祥広氏を迎えて(1)」

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Bar MaltHouse ISLAY にて」 8月某日 時間に反して、明るさがまだ続く頃

談笑しながら、

Kaori:この度はお時間を作っていただいて、有難うございます。

鈴木さん:で、何の話をすれば良いのですか?

K:今回は、信濃屋さんインタビュー以来、お2人にインタビューするのは、2回目です。ですが、今回は鈴木さんの様な大御所と瀧澤さんの様なお若い方のお話を伺ってのインタビューを企画したいと思いました。お時間もタイトだと思いますので、進ませていただきたいと思います。どうぞ宜しくお願い致します。

K:Q1 まず、鈴木さん宜しくお願い致します。皆様が伺う事だと思いますが、ウイスキーの魅力について教えてください。

鈴木さん:ウイスキーの魅力について教えてください?

K:はい。

鈴木さん:それは又、難しいというか、ウイスキーとばっと言ってもね、私の場合は、ウイスキー全般それはいいんですけれど、やっぱり1番魅力的なのはシングルモルトなわけですよ。

K:はい。

鈴木さん:ウイスキーとシングルモルトを分けて考えなくてはいけないというか、位置自体が、ジャンルがね、少しね、ある程度。そんなにいっぱいあるわけではないけれど、ある程度訳なきゃいけない。

K:はい。

鈴木さん:その中で1番魅力的なのはシングルモルト。何故かというと1番は、ウイスキーのトラディッショナルなところですよね。で、トラディッショナルな上に1番バリエーションが多いという事。で、トラディッショナルがゆえに、それが作られる場所の気候風土、歴史と絡んでくるというね、ただのお酒という範囲を超えて、文化的な価値を見た時にという意味ですね。

K:ええ。

鈴木さん:それはワインでもいいし、コニャックでもいいし、人それぞれだとも運ですけどね。私はたまたまスコットランドのモルトウイスキーというものが1番魅力的だったなと思ったという話。元々自分はモルト好きじゃなかったんですよ。元々は単なるウイスキー好きだったんです。その頃は要するにスコッチとバーボンの区別位はついていてもそれ以上の区別はついていなかった。だからずっと自分はウイスキー好き、というだけで。それが変化したのは、1980年代半ば位から、「あ、ウイスキーって一口に言ってもスコットランドで作ったスコッチとアメリカで作っているバーボンと、でもそれって作り方が違うんだと。スコッチの中でもブレンドウイスキーとモルトウイスキーという別種類のウイスキーがあったのって、認識するのが1980年代の半ば位から。その時からですよね。

K:その頃お勤めはされていたのですか?

鈴木さん:その頃はフリーのライター、オーディオの評論家をやっていました。しょっちゅう海外へ行っていたんで、国内でお酒を買って飲んでいるよりも海外で飲んでいる方が多かったです。

K:ええ。

鈴木さん:後は空港での出入りをしていたんで空港限定御品揃えはよく見ていたんです。昔旅行仲間から言われていたのは、鈴木さんって荷物持っていないけれど、酒と煙草は必ず持っているよねって言われていた。

K:(笑)。

鈴木さん:移動する度にウイスキーを買っていたんで、その頃1番飲んでいたんじゃないかな。おそらくね。

K:その時は、後々Barを開かれようと思っていたわけではないのですよね。思っていましたか?

鈴木さん:うーん、その頃思っていたのは、もっと前ですね。サラリーマンをやっていた頃に、20代半ばくらいの時に歳を取ったら喫茶店でもやってゆっくりしたいね、というのはあったんですよ。ただ80年代半ば過ぎからしょっちゅうよその国を遊びまくっていた頃は、なんとなくね。

K:もしかしたら、何か出来たらな、みたいには思われていたのではないでしょうか?

鈴木さん:90年代に入った時位から世の中デジタル化して行くんですね。で、どんどんデジタル化されて行ったら、今まで自分がやって来た音楽とかオーディオに対しての興味が薄れちゃったわけ。

K:ええ。

鈴木さん:つまりですね、ウイスキーと別の話をしてしまったのですが、モルトウイスキーが何故いいかというと手作りだから、デジタル化されないから私にとって良いんですよ。

K:ええ。

鈴木さん:何で今の日本のビールとかその他の世界で造られているスピリッツが私にとって魅力ないかというとあれはデジタル化された工業製品だからです。

K:ええ。

鈴木さん:同じ様な物を効率的に大量生産しているだけで何の個性もないし、単にブランドだけでどれを飲んでも五十歩百歩で違いもない。それに対してモルトウイスキーって手作りだから、最近それじゃない傾向も出来て来ていますが、その作り手と環境のバリエーションが出来上がるのですよ。同じ様にアナログ時代には映像とかオーディオに世界にもファジーさがあったんですけど、デジタル時代になったら誰がやっても同じになっちゃたんです。

K:うーん。

鈴木さん:ですからオーディオも映像も完全に工業製品と変わらなくなっちゃって、だからソニーよりもサムスンの方が良くなっちゃったんですよ。

 K:ええ。

鈴木さん:それを作っている人間とか感性とか関係なくなっちゃったんです。デジタル化した世界は。それで興味が薄れたところがあって。その頃から、急に酒、ウイスキーの方に行っちゃったんですね、意識が。でもその頃はモルトウイスキーが1番なんて思っていなかったですよ。モルトウイスキーが良いなと思ったのは、90年代に入って94年か、94年にウイスキー専門店を開いた時に色々なウイスキーを自分なりに調査研究した結果、その時は私はバーボン好きだったんですよ、あの当時は

K:バーボンは何がお好きだったのですか?

鈴木さん:私はジャックダニエルが好きでした。90年代位までは。今のジャックダニエルとは別ものでしたけれど

K:別物ですか?私達は中々頂けないですからね。

鈴木さん:店を開こうとして、色々なウイスキーを系列的に飲み比べした時にシングルモルトウイスキーが一番味わい深いなと思ったんですよ。調べれば調べる程面白くなっていくわけですよ。結局スコットランドの気候風土と絡み合って来る事が後々判るのですが。

K:確かに。

鈴木さん:ですから私にとっては、モルトウイスキーはお酒ではないんですよね。

K:ええ。お酒ではなく?

鈴木さん:1つの文化財、遺跡と同じなんですよ。

K:ええ。はい。

鈴木さん:それを踏まえると、現在各社がしているシングルモルトには批判的ですよ。

K:きっとそうですね。

鈴木さん:最近のシングルモルトに対してよく例えに使うんですけど、例えばアフリカとかね、サバンナの中で見ている自然、がかつてのモルトウイスキーだとすれば、今のモルトウイスキーはディズニーランドの中に作られているジャングルみたいな感じです。

K:フィニッシュ樽等はいかがですか?

鈴木さん:それは箱庭ですよね。盆栽の様に針金で押さえ付けてね、という気がしますよね。

K:そういう事ですよね。

鈴木さん:それはそれでいいんですけれどね。

K:そういう流れになっているのかな、と思いますね。全部ではないにしろ。見たり聞いたりしていると確かにそうなのかな、と。

鈴木さん:メーカーさんが出しているモルトウイスキーは、どんどんブレンデッドに近くなっていっていると。シングルモルトウイスキーというのは、ブレンダーさんが手を出さない、それが自分の好むウイスキーではありますね。ブレンドウイスキーも人の手が掛かった完成品ではあるのですけれどね。でもそれは私が望む方向とは別の方向かなと思います。(2へ続く)


※当時のインタビューのまま掲載、移行しております。

但し、こちらでのサイトでの公開は、現在携わっていらっしゃる方のみにしております。

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