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私の好きなウイスキーの世界や、Barでの出来事を通じて、

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単独インタビュー第21弾 2014年 年末企画「Bar Malt House Islay オーナー鈴木 勝雄氏、バーテンダー瀧澤 祥広氏を迎えて(3)」

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K:Q3何故今のお店でコンセプトを打ち出していこうと思われたのでしょうか?

鈴木さん:店名を決める時にアイラモルトのアイラにしたので、未だにアイラモルト専門の店ですか?と聞かれるのですけれど、そんな事はないですよ。あくまでもモルトウイスキーをメインとしたBarにしたかったのです。

K:はい。

鈴木さん:モルトウイスキーが専門だよ、とアピールする為に分かりやすいのは、スコットランドの地名とか蒸溜所名を付けるのが1番分かりやすいだろうと思ったのです。既に、ヘルムズデールさんがあったので、ヘルムズデール的な、いかにもスコットランドの土地の名前が良いだろうと。だったら、アイラ島のアイラにしようと。そしたら同時期にスペイサイドウェイさんが出来て、それで当時は東京のモルト御三家と言われたわけですけれど。

K:そうですね。

鈴木さん:たまたまですけれど、あちらはスペイサイドだったから。

K:ええ。

鈴木さん:好きだからとか関係なく、シングルモルトをアピールする名前は何かなと考えた時にアイラだっただけで、オークニーでもスカイでも良かったんです。でもオークニーやスカイよりはアイラが一番分かりやすいかなと思ったのです。

 K:お好きな方なら店名を見て、お分かりになりますものね。

鈴木さん:ヘルムズデールの村澤さんに以前何でヘルムズデールにしたの?って聞いたら、ヘルムズデールという蒸溜所はないんですよね。あれはブローラの次の町だからあそこには全く蒸溜所はないんでウイスキーとは無縁の土地なんですけれど、ヘルムズデールという響きがいかにもスコットランドでしょ?という。あそこは言葉の響きでヘルムズデールという名前にしたらしいんですけれど、きっと村澤さんはヘルムズデールの風景が好きなのだと思います。私も良く泊りますけれどね。海岸沿いの良い風景の町なのですよ。

K:いいですね。

鈴木さん:シングルモルトのお店ですよ、という事をアピールしたくて、店名にしただけですよ。限ったわけではなく、日本も含め、スコットランド以外のシングルモルトもあります、勿論。最近の販売されていないマイクロディストラリーは別として。

K:はい。有難うございます。次は、鈴木さんの経歴を話していただいても宜しいでしょうか?少しお話をなさっていましたけれど。

鈴木さん:最初に勤めたサラリーマン時代はレコード会社のディレクターです。それを退職した後、フリーランスで音楽雑誌の編集の仕事を経て、それからオーディオやビデオ機器の評論をやっていました。

K:今もですよね。

鈴木さん:今はもうしていないですよ。もうこちらの方で手一杯、100%こちらですね。それに最近のオーディオにはあまり興味がないですし。

K:分かりました。次に行かせていただきたいと思います。

K:Q4ウイスキーの嗜み方、又気を付けた方が良い事があったらお願い致します。ただこちらにいらっしゃるお客様はお詳しい方も多くていらっしゃると思いますが、私達が頂くにあたって、何かあればお願い致します。

瀧澤さん:お客様を見ていると、味とかアルコールの強さだけがウイスキーの良いところだと思っている方が、多くいらっしゃると感じます。それだけではなくまずは香りをゆっくり嗅いで頂いて、口の中でも暫く舌の上で転がしてフレーバーも楽しんでもらえるように説明させて頂いていますが、中々そこが上手く伝えられません。

K:それは初めての方がいらっしゃった時ですか?それは何回かいらっしゃった方に対してですか?そう思われるのは。

瀧澤さん:初めていらした方にです。普段からウイスキーを飲んではいるんですが、あまり他の飲み方をなさらないという方もいらっしゃいます。

K:その方々は、最初からストレートでいらっしゃるのですか?それとも最初は水割りからですか?それともロックですか?

瀧澤さん:水割りよりロックで頼まれるが多いです。最近はトワイスアップという方も多いです。良いモルトをいきなり水で割ったらもったいないですよ、とはお話ししながらお出しはしているのですが。

K:そうすると皆さん、そうなの?と言って快くそうするね、と仰るのですか?それとも自分はこれがいいとこだわる方が多いのですか?

瀧澤さん:みなさん、それでストレートでゆっくり飲もうとしてくれるのですが、すぐに飲みこんでしまう。又アルコールの刺激が強いからといって、クイッと飲んでしまう方も多いです。

K:私もスピードがどんどん速くなっていくので、気を付けているのですが、どんどんペースが速くなる。沢山頂き過ぎてしまうと、最初の何杯かですよね、しっかり覚えているのは、それはいけないなと思うのですが。

鈴木さん:ペースはそれぞれ差があるので、実質的な時間の長い短いでは、言いきれないと思うのですけれど、ご本人がじっくり飲んでいるかどうかでいいと思います。最近はなくなったのですけれど、アメリカ映画の影響でウイスキーはカッと飲むもんだよね、と言う人が多かったのですよね。ショットグラスで一気にカッと飲む。テキーラではないですか?ウォッカではないですか?といった感じで。あれはアメリカの西部劇とかの影響だと思いますけれど、それは違いますよね。

K:確かに。

鈴木さん:ウイスキーっていうのは、ブランデーもそうですけれど、自然に広がるので、別に鼻でクンクンする必要もないのですけれどね、プロのブレンダーじゃないのだから。ただ口に含んで、じっくりと口の中で温めて、揮発させて欲しいという事ですよね。日本人ってそういうのがなかなか出来ないのですよ。ほら、喉越しでしょう、というけれど、ウイスキーには喉越しはありません。このウイスキー喉越しがヒリヒリするって、それは当り前でしょう、っていう。ビールじゃないのですから。

K:確かにそうですね。

鈴木さん:その点は注意していただきたいですよね。好みであれば、ロックでもソーダ割りでも何でもいいのですけれどね。

K:逆に知ったからこそ、ロックで飲んでみようかな、水割りで飲んでみようかな、ソーダ割りで飲んでみようかなと最近思っています。

鈴木さん:分かった上でその人がどう飲むかは、勝手なので良いのですけれど、これもやはりアメリカの影響なのですけれど、「ウイスキーはロックだよね。」っていう方も結構いらっしゃるんですよ。何でそう決めつけるの?って。日本にウイスキーというものが入ってきた明治新政府時代から、日本人はストレートで飲んでいました。と言っても誰も信じないのですけれど。1945年のアメリカ軍が終戦になって進駐してくるまでの日本人はウイスキーというものはストレートで飲むものだった。これは鳥井信治郎さんに聞いて下さっても、竹鶴 政孝さんに聞いて下さっても・・・、彼らはそうして飲んでいたはずですから。アメリカの進駐軍が入ってきて、それから7年間のアメリカ占領下、米兵たちがロックでガンガン飲む姿を見てあれが格好いいのだと。その後トリスバー全盛時代が来て水割り、ソーダ割りが主流になったのです。

K:そうですね。水割りでの期間は長いですよね。

鈴木さん:その後ずっと水割り。ロックか水割りっていう氷入りが主流になった。

K:そういうイメージになっていますね。

鈴木さん:ウイスキーやブランデーは本来皆ストレートで飲んでいたし、ヨーロッパの人達は今もそうして飲んでいますけれど、ただ最近の若い世代は、事情が変わって来ていますけれどね。メーカーさんの方も、日本に限らず、スコッチを作っているメーカーさんも、がんがん飲んで大量消費してもらわないといけないので、ソーダ割り、コーラ割りを推奨していますからね。でも私が考えているウイスキーは本来そうではないと思っていますから。

K:そうですよね。

鈴木さん:ちゃんとした良いものは、作法に則って飲んでもらいたいと思いますけれどね。

K:そうですね。ストレートで頂く事が今ですと当たり前になっているのでそうしていますけれど、たまにはロックも良いわよね、と思ったり、やはりストレートが良いかなとストレートにする場合もありますけれど。

鈴木さん:そこですが、例えば、ダビンチのモナリザの絵があるじゃないですか?あれってあれで完成されているものだとは思うのですが、現在のトップアーティストのデザイナーさんが帽子かぶせて髭付けて、って。それはそれで面白いものが出来るかもしれないけれど、それが好きならそれで構わないのですけれど、でもあのままのモナリザがいいよ、と言う人がいればそれはそれでいいと思うのです。

K:ええ。

鈴木さん:ある意味それと同じようだと思うのです。別にコーラやジンジャーエールでトッピングしても良いですけれど、そんな事をしなくてもウイスキーには本来の味がありますから。

K:ウイスキーでハニーというものが出ましたよね。スコ文研さんの屋形船イベントで初めて頂いたのですが。以前から興味があって頂きたいと思っていたのですよ。凄いですね。

鈴木さん:最初はショックが大きいのでが、あれは慣れてくると飲めてしまうのです。ワイルドターキーでも昔出していました。10年以上前にですが。

K:ショックと言うか、イメージは付いていましたけれど、衝撃でした。その後、皆さんから伺ったり、何かで見たりして、何かで割った方が美味しいよ、というのを見て成程な、と。氷を入れて頂いても、中々難しくて、待っていたら氷まで溶けてしまったという。

鈴木さん: あれは、レモンとかライムとか、柑橘系を絞った方がいいですね。ソーダで割った方が美味しいかもしれないですね。あれはあれで、最初にコカコーラを飲んだ時と同じで、う、何だこれ?と思って段々病み付きになるかもしれないですよ。 (4へ続く)  (2へ戻る)


※当時のインタビューのまま掲載、移行しております。

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